一番いじられていたのに、
一番なめられていなかった。
海外の会社を相手に開発案件で出張するようになったばかりの頃、香港出身のLeeというエンジニアと、カナダ人の同僚たちと食事をしたことがあります。Leeの英語にはかなり強い訛りがあり、文法も結構荒削りでした。当時の私は、正直、「英語だけなら俺のほうがうまいんじゃないか」と思っていました。
ところが雑談になると、立場は完全に逆転しました。誰かが冗談を言い、皆が笑う。私は何がおかしいのかわからないくせに、左右を見て、0.7秒くらい遅れて「ハハ……」と笑う。一方のLeeは、冗談にはすぐ反応し、からかわれれば時にはからかい返す。大事なところでは引かない。そして何より、皆から仲間として扱われていました。
その日、一番いじられていたのはLeeだったのに、
一番なめられていなかったのもLeeだったのです。
逆に私は、とても丁寧に扱われていました。しかし、どこか輪の外側にいる感覚がありました。あのとき初めて、礼儀正しく扱われることと、対等に扱われることは別なんだと気づきました。
※ 「はじめに」より一部を抜粋しています。
相手の理解力ではなく、二人の認識を確認する。
Do you understand? は、話し手が説明する側、相手が理解する側という構図になりやすく、言い方によっては上から確認しているように聞こえます。
一方、Are we on the same page? は、認識のずれを相手だけの問題にしません。相手を責めず、自分も下げず、二人を同じ側に置く。本書では、こうした小さな言い換えの奥にある「関係のつくり方」まで説明します。